fc2ブログ
ともに人生を語らう友を求めて さすらいの親鸞学徒 つれづれなるままに
鯛の料理はどっちがいい?
ふだんは中のよい夫婦なのに、ある日突然大ゲンカ。

前を通った近くの隠居、驚いて仲裁に入る。

「何をケンカしていなさるんじゃ」

血相変えた奥さんが言う。

「鯛の料理は、何がいいかで、ケンカしとるんです」

ほう、で、奥さんは?

「鯛の料理は、塩焼きに限ると言うとるんです。

鯛の塩焼きなら、ゴハン何杯でも食べれますよね」

ふん、確かに、鯛の塩焼きはうまいのお。

「こら、隠居、お前、こんな女の肩をもつのか」

ほう、ご主人、あんたはどうなんじゃ?

「鯛の料理は、刺身に限る。鯛の刺身で一杯飲んだらウマイじゃろ」

ああ、鯛の刺身はうまいのお。

「隠居さん、こんな人の言うこと聞いてはだめじゃないですか」

ちょっと、奥さん、待ちなさい。それなら一つ考えがある。

鯛の片身を刺身、片身を塩焼きにしたらどうじゃ。

これなら、一匹の鯛で、刺身も塩焼きも食べれるじゃろ。

「ははあ、そうか。さすが隠居、ダテに歳はとておらんわい」

いらんこと言わんでもいい。さあ、ことのついでじゃ。

その鯛をここに持ってきなさい。これでも昔は包丁握っておったワシじゃ。

今すぐ、片身を刺身、片身を塩焼きに料理してやろう。

頭としっぽは、ケンカの仲裁料にもらうとしようか。

さあ、ここへ鯛を持ってきなさい。

「いやあ、隠居さん、困りました」

何が困るか。

「あのお、その鯛が、ないんです」

えっ?さっきまでそのことでケンカしておったんじゃないのかい?

「実は、向かいの家の娘、そろそろ嫁入りでしょう。

婚礼の引き出物に、鯛を持ってくるかも知れんでしょう。

その鯛を、もらったらどうするか、という話をしておったんです」

何?もらったら?そんなもん、もらえるかどうかもわからんのに。



隠居さん、呆れて帰ってしまったそうな。

それはそうです。まだもらってもいない鯛、もらったら、という話、

アテにはなりません。



世間でも「死んだらお助け」「死んだら極楽」と言って

喜ぼうとしている人たちが多いですが、

そんなもの、死んでみなければ分かりません。

アテにならない話で、無理やり喜ぼうとしても、喜べるはずがありません。

1億円の宝くじ、当たったらと思って慶べ、と言われても、ねえ。


親鸞聖人の教えは、平生業成、この世で救うというのが弥陀の本願です。
スポンサーサイト



忍者アド